Dyno My Piano Years



1979-80

The Pro
"The best Rhodes I've Played"
Tom Coster

DMP San Francisco事務所の壁に貼ってあるポスター
最初に見たKeyboard Magazine誌のDMP広告がこれ。
勿論、私はサンタナのファンです。





Advanced Technical Seminars

Chuck Monte of Dyno My Piano, reknowed for his modification techniques on the Rhodes Piano,is now offering an advanced seminar on the Rhodes keyboard. This seminar will be a highly individualized experiential seminar lasting five days. The seminar will cover all aspects of Rhodes piano adjustment,repair, redesign, and custom modifications, from electronic to mechanical. This seminar will enable the technician, or service center representative to provide high quality, professional service and modifications to stores and customers in their areas.

This seminar will be a prerequisite for the franchise installation of the PERCUSSION PEDAL and PRO PIANO kits that will be offered by Dyno My Piano.

Program as follows:
DAY 1 Overview Approximate lenght of day: 10hours
・The theory behind the Rhodes
・Familiarization with equalization and its uses in tuning, strobe display, definitions of adjustments,parts, assemblies,and their interrelationships.

EXPERIENTIAL:
・Tone and volume adjustments.
・Striking line adjustments.
・Escapement adjustments.
・Sustain adjustments.

DAY 2. Questions and answers. Approximate length of day. 11 hours

EXPERIENTIAL:
・Sustain adjustments.
・Damper escapement adjustments.
・Pre-tuning examination of the pianos.
・Methodology of sophistication in tuning.
・Tuning of the piano.
・Troubleshooting the Rhodes.

DAY 3. The E.Q. and percussionpedal.Approximate length of day:8 hours
Review of Day 2.

・Installation of the E.Q.
・Set-up of piano for E.Q. response.
・Familiarization with kits and tools.
・Installation of the PERCUSSION PEDAL.
・Harp-pull linkages
・Damper adjustments
・Knee Lever assembly

DAY 4. Electronics Approximate length of day: 6 hours
・Theory and experience.
・Overall electronics of the piano.
・Troubleshooting the electronics of the piano.


DAY 5. Sales and sucess as a piano technician.
Approximate lenghth of day: 8 hours
・Forms and processes.
・Estimate forms and estimate - a sales tool
・Pricing
・Advertising and marketing
・Shop set-up and forms
・Inventory, records, and work flow charts

Other available services from Dyno My Piano:
・National and international advertising
・Dealer and customer referrals
・Additional technical aids: modular head-phone system and tool kits.

All participants will have a Rhodes piano made available during the course of the seminar, along will all tools and the latest of Dyno My Piano kits. All sessions will be conducted by Piano staff. The latest in audio-visual and experiential techniques will be used.

IMPORTANT NOTE:The Dyno My Piano A.T.S.
Program is not a beginning seminar, but a fastmoving,highly-advanced seminar designed for technicians having prior experience with the Rhodes For Further information contact DYNO MY PIANO, 2940 FOLSOM STREET , SAN FRANCISCO,CALIFORNIA 94110.

(c)1979 Dyno My Piano

1981, NAMM winter market at Anaheim Convention Center



Studio Model 4000
Publicity from October 1981 issue, Keyboard Magazine

Experience
Transformation


Report from November 1981 issue, Keyboard Magazine

Keyboard Report

私が在職していた(1976〜1994)サン楽器&サンリース企画(現サンフォニックス)時代、300台以上のRhodesピアノの調律・修理をする機会を得た。

入社当時は、フジテレビ営業所(河田町)やレンタル業務など総合的な楽器移動、セッテング業務が主な仕事だった。Rhodesの印象はハモンドB-3よりは軽いキーボードぐらいの印象しかない。
1977年から4年間フジテレビ番組制作に伴なう音声フロアー業務の担当となる。
担当した番組は、君こそスターだ!、クイズ・ドレミファドン!、スタードッキリ桾告、などバラエティから、夜のヒットスタジオ、ミュージック・フェアなどの音楽番組。
アイドルでいえばキャンデーズ後期から山口百恵引退まで、ピンクレディ-絶頂期、松田聖子の"青い珊瑚礁"、小泉今日子"スターダストメモリー"どまりである。
この音声時代"Rhodes"が話題になったのは、サン楽器のレンタルするRhodesの音が悪い!どうにかして!..ということ..
さらに、ソリーナー(ストリングスアンサンブル)をRhodesの上に載せるとノイズを拾う問題。

サン楽器さん何とかしてヨ!..
つまり、これが始まり。

私は新しい物好きで、英語の Keyboard Magazine誌を定期講読したり、79年ミュージックトレード誌(楽器業界誌)の募集していたNAMMアトランタ楽器視察ツアーに個人で参加したりしていた。
勿論、Dyno My Pianoの広告も知っていたが、当時の電気楽器修理部門の担当者に紹介する程度であった。

80年、当時の電気楽器修理部門の担当者が次々と退職したり、シンセサイザーのオペレーターの育成が遅れたりと電気楽器のクオリティ管理が大きく社内で問題となり、対策のひとつとして前任者が出していたDyno My Piano関連の稟議が実施されることになった。

指名されたのは、私とセミナー受講後半年で退職したN氏。
担当はNOGO部長。



1981年2月5日〜22日 NAMM Winter Market視察と8日間のセミナーを受講。

Advanced Technical Seminars Part



2/11 
Striking Line
Tone Adjustment
Hammer Damper Escapement
Pick up Distance
Voice and Harp
Attack Procedure

2/12
Sustain Adjustment
Advance Bend
Damper Escapement



2/14
Tuning
Tine交換

2/15
電源取付
ProEQ取付
TRI Stereo取付

2/16〜18
Rhodes調整実習

2/20
スーツケースEQ取付
OLD Rhodes 調整
Flat Top取付改造
見積もり
デモンストレーション

以後、YAMAHA DX-7登場!までの3年間、Rhodes漬けの日々が続く。

Flyers

この年、CBSはRhodesアクションの改造を大幅に行った。
木製鍵盤からプラスティク樹脂系の鍵盤に、またハンマー運動を早く、強くするため、鍵盤ペデスタル部のアクションフェルトを切り、ハンマーが上がりきる接触部分をプラスティクに変更した。

その為、ハンマーチップも全体的に柔らかいものを使用。高域のトーンバーが2点止めから、1点止めに...
さらに、キーベッドが削除され、キャビネットに直接取り付けている。
そのため、キャビネットの強度を強くし、厚い底板に変更。

CBS買収後のRhodesは約2年周期で、アクションが改良されている。

この時は、最悪と思っていたが最近(97年)今田勝さんのRhodesを調律することがあった。このアクションである。結構いい音している。

これは当時は良いRhodesと比較していたが、今はデジタルピアノと比較している自分がいる。
やっぱり、Rhodesはいい!

上記のことで、失敗したことがある。
この当時のハンマーチップは柔らかい、これを違う時代のアクションのRhodesに付けると少し鼻が詰った音になる。

野力奏一さんのRhodesのときにこの失敗をした。 試奏後、一発で違いを指摘された。

DMP時代お会いできたミュージッシャンは、一流の人ばかり。
なにせ、調整や改造はとても高く10万円から30万円近い価格だった。
中にはお金がなさそうな人もいたが、
すぐにメジャーになっていった。



チャック・モント来日

1981, 楽器フェア(北の丸公園科学技術館)



チャック・モントとハロルド・ローズ
Chuck and Harold Rhodes


噂の"ダイノマイピアノ"初公開!
10月24日(土)午後2時〜4時
場所:サン・ミュージカル・サービス

チャック・モント
宮川泰先生とチャック
武車さんと松岡さん
(リハーサル風景)

Advanced Technical Seminars Part II

左から 松岡、 早川、 石上、 花房、 チャック・モント

スタッフ一同と記念写真



'81年10月チャック・モントが来日し、 楽器フェア(エレクトロボイス社のブースを間借)のデモ演、キーボード・クリニック、録音スタジオでのデモ(フリーダムスタジオ等)、契約締結、第二回テクニカルセミナー、等を実施した。

このとき、私はまだ経験が浅く、どうしても良い音にならない88鍵ステージピアノ・マーク I があったのでチャックに調整を依頼した... が  少し見て、"ジャンク"と一言いって終わってしまった。時間を掛ける価値の無いRhodesだった。

ハンマーが当たる部分をベストの位置に設定する調整をストライキング・ラインと呼んでいる。中域のCの音を良く鳴るように調整すると高域の音がつまることがある。高域の音はタインが短くベスト・ラインの範囲が狭い。良い音と全体のバランスとの妥協点は高域のポイント設定が優先される。勿論、原因を作っている部品を交換したりもするが、特に88鍵の場合は中域よりも高域が優先されてしまう。

このストライキングラインの調整を逆手にとったのが、パーカッションペダルである。今回の第二回テクニカルセミナーではこの改造方法がメインではあったが... 購入した3台のキットは一度も使われることはなかった。

内容的には機械的操作による打弦点の変更である。悪い音もコントーロールすると面白い効果が得られる。

サウンドはクラビネットD-6(スティービー・ワンダーの『迷信』のイントロ)、操作はスティールギター(カントリー系)の膝で操作するレバー、部品はウィリッターエレキピアノのダンパーペダル部品の流用、発想はエレキギターのトーンアーム。

アイデア商品である。だが以後NAMMやDMPのショールームでも、この商品を見ることはなかった。

映画グレムリンに登場するチャイナタウンからクリスマスプレゼント『モグワイ』を持ち帰る発明家ラウンド・ペルツァー氏を見た時、チャックを想い出した。 発明品トラベル・フレンドを説明する不可能を可能にするアイデアマン。 NAMMのブースには発明品が溢れている。

好きなんだナ、この手のアメリカ。

とにかくチャック・モントのパーカッションペダルのデモ演は最高!でした。


1982, NAMM Winter market at Anaheim Convention Center



The RED ,WHITE AND BLUE COLLECTION
RED: The Wurlizer Super "B","Oldie but Goodie"...
WHITE: Vintage and Elegance...
BLUE: The Stereo Pro...



Wurlizer Super "B"

DMP Keyboard Rack

1970 Rhodes Suitcase with DPM Power Amp 310 and Electro Voice Speakers and Horns


Bob James Japan Tour'82



Keyboard Magazine 98年11月号の特集に"RHODESエレクトリック・ピアノのすべて"のチャク・モント・インタビューに必聴アーティストとしてイエロージャケットのラッセル・フェランテとロビー・ブキャナンを紹介している。

私の知っているところではイエロージャケットのアルバムは "MIRAGE A TROIS(1983)"と"SAMURAI SAMBA(1985)"、後者ではSpecial ThanksのクレジットにChuck Monte -Dyno My Pianoを見つけることができる。

ロビー・ブキャナンのお薦めのセッションはホイットニー・ヒューストンの Saving All My Love For You (1985)。(DX-7の音が親でダブらせている?)

私のお薦めアルバムは、アル・ジャロウ: "Breaking Away (1981)",と"Jarreau(1983)"。 キーボード・プレーヤーはTom Canning, David Foster, Michael Omartion, George Duke, Robbie Buchanan...と豪華な顔ぶれであり、 プロデュースはジェイ・グレイドン(エアプレイのギター)。

ヒット曲 Mornin'などDMPの音の特色をいかしたアレンジは最高にイカシテいる。 このアレンジのエキスを感じる最近のヒット曲はSMAPの『セロリ』。
Rhodesは使っていないようだがアレンジは清水信之さん。

レンタル料¥35,000のスタジオ・モデル4000のお得意さんだった。

当時、信之さんから紹介されたDMPフィーチャリング・アルバムはマーク・ジョーダン"Blue Desert (1979)"。



1983

1983, NAMM Winter market at Anaheim Convention Center





New Pro EQ & Chorus



TRI Stereo Chorus 618

DMP Office at Burbank, LA


Blair, Chuck and Steve




Tom Coster/Santana Japan Tour'83


この年はプライベートでNAMM Winter Marketを見学に行く。初めての一人旅である。
DMPのオフィイスは ロサンゼルスの北、Burbankに新設されていた。

チャックの運転する車で会場のアナハイムに向かう途中、土砂降りの雨になった。
チャックはめったに雨は降らない..と英語で言っている(たぶん)。
仕草で理解したのだが、返事に困ったので唄を歌った。

It Never Rains in Southern California(カリフォルニアの青い空)
〜南カリフォルニアでは決して雨が降らない....

カリフォルニアは乾燥している。 これが楽器に影響する。電気楽器にも..

カリフォルニアの調律師は平気でピアノの弦を素手で触る。弦が錆びるなど考えたことがないようだ。

シンセサイザーもカリフォルニア生まれのものは日本では接点不良を起こし、スケール・チューニングが滅茶苦茶になることが多かった。

CBSのオフィスはカリフォルニアにある。

カリフォルニアに行ったなら、木ネジを絞めて見よう。 とにかく硬い。
この違いが音にでる。

カリフォルニアに住んでいる人は雨期や湿気を知らない。
なのに、私が行くこの時期は何故か雨が多い。

But,girl
Don't they warn ya
It pours, man,it pours!

83年5月にYAMAHA DX-7 発売!



1984

1984, NAMM Winter market at Anaheim Convention Center



10 Year Anniversary Series,




TRI Stereo Chorus


Flying Soucer (FS-1)




L.A.Smog and Smogwear



with Kate

私も発売前から予約を入れDX-7を購入。 シリアル番号は#2855。
そして、 83年後半からは急降下で仕事がなくなっていった。

84年1月、DMP出張とNAMM Winter Marketに参加。

目的はオリジナル商品"Flying Soucer 試作機"(商標の問題でFS-1に改名)の出展と仕様打ち合わせ、そしてTRI Stereo Chorusの営業。

DMPは10周年記念のDyno My Pianoと TRI Stereo Chorus 8台搭載ラックの展示。 デモ用のシンセはオーバーハイムOB-8からPPGに変更されていた。
そして、試作機"Flying Soucer "はチャックのデモ演の最後にグルグルと音を回し注目を一手に浴びることになる。

この時、話題になったのがFORTE MUSIC社のMIDI ADAPTER。
ピアノやYAMAHA CP-70&80、そしてRhodesなどのMIDI化キットである。

この年発売になった"Macintosh 128k"はまだ私の耳には入ってこなかった。
チャックは、この年開催されたロサンゼルスオリンピック便乗商売を企画。 L.A.SmogとSmogwear(ロサンゼルスのスモッグを詰めたお土産$2.00、スモッグTシャツ、スモッグ帽子)を別会社で販売。

この年発表されたアル・ジャロウのアルバム"High Crime(1984)"のジェイ・グレイドン・サウンドはシーケンス・サウンドが展開されロイ・ブキャナンはSynthesizerとしてクレジット、Programmingとしてボー・トムリンの名前がある。

翌年から、DX-7の音色ROM "Key Clique社"などとの仕事が中心になり、私は国内中心の仕事に移行。

当時、海外担当のNOGO部長は1985年"Macintosh 512k"を手に入れて帰ってきた。


1988









E-Mail: masakim@tctv.ne.jp